自分でやる相続税申告と相続手続き

相続税の申告で難しい事の一つに、「評価」の問題があります。

現金や預金は、残高がそのまま評価額です。

土地も、分譲住宅地などにあるような道路に面した正方形や長方形の自宅ならばさほど難しくないと思います。

相続税の基礎控除は3000万円+法定相続人×600万円ですから、まずは財産リストを作成して、この基礎控除を超えるかどうか検討してください。

注意点としては、死亡前3年以内の贈与は、贈与が無かったものとして相続財産に加算する事です。

その上で、だれがどの財産を取得するか相続人同士で仲良く話し合ってください。
その際、よく揉めるケースとしては兄弟が居て、生前贈与(特別受益)を受けた人がいる場合です。
不公平感の無い様にしてください。
また、勘違いしているケースとして、「私は放棄するから」と言って、ハンコ代だけもらって分割協議書に押印するケースがありますが、
これは法的には放棄した事にはなっていません。
完全に放棄するには家庭裁判所で手続きが必要です(行けば教えてもらえます)。
また、分割の仕方によって税額が変わってくるケースがありますので注意が必要です。

自分で申告&手続きできそうなモデルケースは以下の通りです。

①故人の職業は無職又はサラリーマンで、自営した事が無い
②不動産は自宅のみ
③その他の資産は現預金・上場株・保険金のみ
④相続人は配偶者と子供又は、子供だけで、相続人同士もめていない
⑤金額が基礎控除をわずかに超える程度
⑥遺産分割しやすい資産構成(たとえば不動産しか遺産が無いと分割しにくい)

なお、相続税の申告だけでなく、遺産相続の手続きについても自分でできます。
まず、次の書類をあらかじめ用意しておきます。
①故人の出生から死亡までの戸籍謄本(本籍地にて取得・郵送可)
②個人の戸籍の附票
③相続関係図(今回相続に関係する人の家系図)を作成
④遺産分割協議書を作成(遺産の分割について協議した結果の書類で、各相続人が署名し実印で押印)
⑤各相続人の印鑑証明書
⑥遺言書があれば遺言書
⑦不動産の名寄帳と全ての不動産の固定資産評価証明書(市区町村)
⑧上記⑦の不動産登記簿謄本(法務局)
⑨預貯金の死亡日の残高証明書
⑩株式がある場合には証券会社に問い合わせて目録をもらう
⑪保険金は保険会社にその明細をもらう
⑫ローンがある場合には死亡日の借入金残高証明
⑬葬儀やお寺さんへの領収書(内訳入りの物)

預貯金の名義変更・・・金融機関に①③④⑤⑥を持参して手続きする
株式の名義変更・・・・証券会社に必要書類を確認してください。
不動産の名義変更・・・①②③④⑤⑥⑦⑧を法務局に持参して相談してください。
(※不動産に、借入の抵当権が設定されている等、権利関係が複雑な時は司法書士に頼んだ方が無難です)

相続税の申告は、①か⑬まですべてを持参し、税務署で相談してください(要予約)
(※遺産額が多い、不動産の数が多い、変わった土地、相続人同士でもめている、自営だった等の場合は税理士に頼んだ方が無難です)

なお、税務署では節税テクニックや分割の仕方等は教えてくれません(稀に親切な人もいるが)。
不安な場合には、当事務所の相談サービスをご利用ください。